常温アーク溶射技術


ガリバリウムメッキの誕生


同時代、長期防食を目的とした、複合亜鉛、アルミニウムメッキが、USA.ベスヘルムスチール社が開発しました。この方法は、亜鉛とアルミニウムを合金化させることなく、交互にメッキを繰り返し、亜鉛、及びアルミ層を積層する方法です。
亜鉛、及びアルミニウムが交合に積層された、薄いアルミ皮膜は、腐食要員から亜鉛を保護し、亜鉛質量を防食電極として効果的に消耗させることができ、同等厚みの亜鉛メッキと比較して、7倍以上の耐食性が発揮できます。
新日鉄のガルバリウム鋼板を初めとして、神戸製鋼を省く、製鉄メーカー、及び系列にて製造され、主として、自動車ボーデー用鋼板として使用されている。現在では、住宅関連資材(軽量鉄骨、パイプ、屋根材)、電化製品(冷蔵庫、洗濯機、クーラー室外機等)など、広く応用されています。


残念ながら

有効な複合亜鉛アルミニウムメッキは、0.6〜2.3tの薄鋼板しか処理できません。
そのわけは、亜鉛の融点(420℃)とアルミの融点(660℃)が異なる為、熔融亜鉛メッキ処理後、熔融アルミ槽に浸漬すれば、亜鉛皮膜は再溶解し合金化し、有効な亜鉛層が形成されず、陰極電位が保持できないからです。薄鋼板の処理は、フラックスを使用し、短時間にて、薄いメッキ皮膜(3〜6μm)を形成し、亜鉛が全て再熔融しない内に、アルミメッキ処理が可能だからです。厚みのある鋼材は、鋼材温度を上昇させるまでに時間が必要な為、薄鋼板と同条件では、複合メッキが不可能です。


アークテクノは、溶射(メタルスプレー)にて、ガルバリウム組成(AL55%、Zn 45%容積比)皮膜の自在な形成に成功しました。

※断面写真 ×100(白色部 AL黒色部 Zn)


ガルバリウム組成溶射皮膜100μmは、驚異的な耐食性を発揮します。
約16000時間に及ぶ、塩水噴霧試験(JIS Z 2371)において、クロスカット部(2mm幅)の鋼材露出部の発錆びが確認できません。亜鉛メッキ100μm厚みが、同様試験において40%相当面積の錆びが発生するのと比較すれば、8倍以上の防食性能があると言えます。

試験板の写真列記


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