施工について

溶射による鉄鋼防食

電気防食と言えば、水中の鉄鋼構造物にカソ-ド電極ブロック(亜鉛、亜鉛アルミ合金、ア ルミ)を取付け、各電極間を接続し、構造物表面を防錆電位まで下げ長期防食を実施する。 水中、及び土中電防を連想します。

水中においては、陰極電流(-800〓-1100mmV)は350〓700mm範囲まで導通可能だが、大気中においては、2〓3mm範囲とカソ-ド電極の周囲を僅かにカ-バ-する程度であり、熔融亜鉛メッキ、及び溶射工法にて、鋼材面に直接密着させる工法が有効である。
塗装にも、有機ジンク、及び無機ジンク(亜鉛粉末)を顔料とした防食塗料があるが、防食効果は、ソリッドメタルによる電防には到底及ばない。

溶射とは、1910年、スイス國、Dr.M.U.Schchoop(Dr.シヨ-プ)により、初期ガスフレ-ム式
溶射法が開発された。
チップミキシング型ノズルにて、溶解アセチレンガス、及び酸素を使用して、3000℃の火炎を発生させ、中心部に金属線を供給し、熔融噴射(ガスノズル周辺から圧搾空気噴射)し、純金属被膜を形成させるメタルスプレ-工法を確立させた。
本溶射法の原理は、現在でも変わることなく応用され続けられている。

1920年以後は、アメリカ(Metal Coating Co,of Amerrica.設立)、同時期、イギリス(Meta
llization Ltd,)、フランス(Societe Nouvelle de Metallizaton)、ドイツ(Schliha Werk e)等が次々と溶射装置を開発した。
日本では、1921年、江沢常譲二郎氏が、Dr.シヨ-プから 製造権を買い取り、日本メタリコン工業所を設立した。それ以後、溶射のネイミングをメタリコンと呼称している(Metalicon 古ラテン語 金属化の意味)

ア-ク溶射は、溶解アセチレンガスのコストが高く、1915年頃から、現在のDCア-ク溶射装 置の原型が開発されている。我が国の溶射は、同様の理由により、ACア-ク溶射からスタ-トした。

1945年頃からは、米国を主流とするプラズマ溶射が参画し、主としてジエットエ ンジン部品の、高温高耐磨耗皮膜として、各種セラミック(副合材を含む)コ-テング溶射が増大した。

※主な溶射法の原理

フレームガス式

溶射アーク

プラズマ溶射

図表A

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