溶射皮膜の密着力
防食皮膜としての溶射層は鋼材面と如何に密着力を保持するか、熔融亜鉛メッキと対比し
相違、及び特徴を列記する。
鋼材防食法 |
熔融メッキ |
溶 射 |
工程明細
前処理 |
酸洗い工程
A.第1酸液槽(pH2.5)
↓
B.第2酸液槽(PH2.0)
↓
C.水洗槽(3〓5槽)
↓
D.湯洗槽(1〓2槽)
↓
E.乾燥 |
ブラスト
※ブラスト材
A.スチ-ルグリッド
B.熔融アルミナ
C.ガ-ネット
D.炭化珪素(カ-ボランダム)
装置に適切なブラスト材を選定
※ブラスト装置
1.直圧式ブラスト装置
2.円心投射式ブラスト装置 |
目的 |
ミルスケール(黒皮)、及び錆びを除去鋼板面を活性化させる。
熔融メッキ槽での水蒸気爆発を防止し、拡散合金層を形成容易にする。 |
ミルスケール(黒皮)、及び錆びを
除去鋼材面に高密度のアンカーパタンを形成させ、溶射金属層の密着力を向上させる。 |
皮膜形成 |
熔融槽に浸漬する |
溶射ガンにてスプレ-する |
皮膜形成温度 |
亜鉛(融点 420℃) 460〓485℃ |
従来溶射法 100〓140℃ |
アルミ(融点 660℃) 700〓730℃ |
新規溶射法 45℃ |
限界厚み |
50g/m2(21μm)〓950g/m(133μm)
※950g/m2目付量は亜鉛に限定 |
従来溶射法 300μm/max |
新規溶射法 厚み制約なし |
密着力 |
亜鉛 140Kg/cm2以上 |
亜鉛 80Kg/cm2以上 |
アルミ 180Kg/cm2以上 |
アルミ 120Kg/cm2以上 |
耐食性 |
亜鉛 550g/m2(77μm)
2000時間以内(JIS Z2371試験) |
新規溶射(AL55,Zn45%容積比)75μm
15000時間(JIS Z2371試験) |
塗装 |
専用プライマ 1回塗り |
常乾燥型セラミック塗装 |
中塗り 2回 |
封孔処理 |
上塗り 1回 |
上塗り 2回 |
塗装寿命 6〓8年 |
塗装寿命 30年以 |
ジンクリッチペイント 密着力 |
16Kg/cm2(塗装1ヶ月以内) |
ジンクリッチペイント 密着力 |
4Kg/cm2(塗装7年以上 ) |
※新規溶射法とは、ガルバリウム組成溶射(AL55%,Zn45%容積比疑似合金)をさす。
密着力と防食性能
防食原理が電気防食法である、熔融亜鉛メッキ、及び溶射(亜鉛、亜鉛アルミ疑似合金、ア
ルミ)は、鋼材面に、拡散合金層、又は、高密着力接合が必要条件となる。
熔融メッキは、鉄肌の1級清浄面を必要とし、酸洗い工程にて、活性鉄面を形成し、熔融槽にて、低温拡散合金層の形成を容易にする。
溶射は、硬度の高い(7.3モ-ス硬度以上)鋭角を持つブラスト材(スチ-ルグリッド、熔融アルミナ、炭化珪素、ガ-ネット)を使用し200m/秒相当の衝突力にて,スチ-ルグリッ(G100/G50混合)、アルミナN-30、ガ-ネット(4号珪砂相当粒子)等を、35Kg/m2(アルミナ、ガ-ネット)〓125Kg/m2(スチ-ルグリッド)を投射して、良好なアンカ-パタンを形成させ、溶射金属を高速噴射充填、及び凝固させ、高
密着力(90Kg/cm2AL,Zn疑似合金)させる工法です。
電気防食法である、メッキ、及び溶射は、鉄鋼表面処理が最も重要な工程である。
表面処理の良否により、防食年月(皮膜の品質)が決定される、不適当な処理面に施工された皮膜は、短期間(1〓5年)で皮膜膨れ、及び剥離、発錆びが発生し、塗装よりも効果が発揮
できない問題点がある。
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