常温溶射の真価を発揮する分野は、
鉄鋼構造物の防錆防食分野と、アークテクノは考えました。
☆鉄鋼構造物長期防錆防食への応用
我が国のインフラは、鉄鋼資材を中心として構成されており、欧米とは、比較できない防錆防食面積を保有している。例えば、橋梁だけを取り上げてみれば、1960年以後は毎年60万屯以上の鋼材が使用されている。10mmtの鋼材1屯の表面積は25.5m2あり、平均的な橋梁鋼材厚みは16mmtとされ、16m2/屯の塗装面積と計算される。60万屯/960万m2以上の新規防食塗装面積が毎年加算され、全国の橋梁は約30万橋と膨大な数量を数える。
→表:現在使用されている重防食手段(鉄鋼構造物)
■一般的な橋梁塗装は
新設 |
桁 I型 |
暴露面 無機ジンク塗装 2回 |
H型 |
変性エポキシー塗装 1回 |
鈑桁 |
ポリウレタン塗装 1回 |
箱桁 |
ウレタン塗装 1回 |
非暴露面 無機ジンク+変性エポキシー |
鋼床板 |
無機ジンク塗装 2回 |
非暴露面 タールエポキシー |
変性エポキシー塗装 1回 |
ポリウレタン塗装 2回 |
トラス |
無機ジンク塗装 2回 |
アーチ |
変性エポキシー塗装 1回 その他使用塗料 |
橋脚タワー |
ウレタン系塗装 2回以上 塩化ゴム系塗料 |
支承 |
亜鉛溶射 100〜150μm
変性エポキシー塗装 2回
ウレタン系塗装 1回以上 |
高欄 |
熔融亜鉛メッキ |
550g/m2(77μm)
亜鉛用プライマー 1回
ウレタン系塗装 2回 |
※長大橋塗装には、8〜12回塗り等の特殊仕様がある。
塗装寿命は、環境により異なるが10〜15年経過すれば、溶接部、特に下フランジ、高力ボルトを含む添接板、ウエーブ下部、支承など、結露しやすい部位が著しく錆び腐食する。
維持管理としての現場塗装は、2種ケレン(著しく錆びている部位を電動工具を利用して錆び、及び劣化塗膜を剥離、良好とみなされる塗膜はそのまま残す)し、一般的には下記仕様にて塗装する。
2種ケレン→下地変性エポキシー塗装1回塗→ポリウレタン系塗装
2回塗→ウレタン系塗装2回塗 ※その他 下塗 フェノール樹脂MIO、エポキシー樹脂MIO |
中塗 シリコン系樹脂塗料 フッ素樹脂塗料 |
上塗 塩化ゴム系塗料 ポリウレタン系塗料 フッ素樹脂塗料 |
上記塗料の組み合わせによる
塗装寿命は、平均10年程度であり、初期塗装のように15年の防食期間を維持することが現状では困難である。
塗装による、鉄鋼構造物の防錆防食は、作業足場、及び養生費が、塗装費の70〜125%と上昇し、トータルコストは、短期間の再塗装の繰り返しを容認できない状態となります。
地球環境からも、塗装に使用する溶剤は、全て大気中に希釈する性質のものであり、今後、益々使用量が規制される対象となります。(VOC規制)
←前ページへ | 次ページへ→
←常温アーク溶射技術・目次へ |